静かなファンをみつける、そしてコントロールする(改)



静音化の第一歩は、静かなファンを探すことに始まります。

ファンの騒音は、風力に比例する風きり音とファンが回転する際にするモーターの軸付近で発生する音です。(面倒なので以降、軸音といいます)風量がある程度多い場合には風きり音が主成分となり、羽根形状が騒音の違いになります。低回転で動作させた場合は風きり音よりも軸音が目立つようになり、軸音が静かな事が静音用途で使用するファンの重要な要件になります。軸受けはスリーブベアリングのほうがボールベアリングよりも静かですが、ボールベアリングのほうが長寿命です。
高速電脳のHPの「ファン各種」に良い解説があります。一読されることをお勧めします。

■RDM8025S
下の写真のCRAFT FANとRDM8025Sを比較したのは2002年の5月初旬の頃です。
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2002/05/01/635531-000.html
↑を買いに俺コンに寄り、2Fのダンボール箱から見つけたのがRDM8025S(300円)でした。
その夜、CRAFT FANとRDM8025Sを比較したところ、同程度の風量でまったく風きり音が少なかったことに驚かされました。軸音もCRAFT FANの中でも静かなものを選別してありますので、RDM8025Sと同程度でしたから、その差は羽根形状にあったわけです。
その後、RDM8025Sを買い足して自分の分を確保してからHPに紹介しました。

CRAFT FAN RDM8205S
長尾さんHPからパクッた画像

風きり音が少なかったことで思い出したのは、偶然みつけた『エクストラファン』開発物語(三菱電機)のHPでした。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kankisen/kanki/wind/pdf/1su06_07.pdf
RDM8025Sの羽根形状がエクストラファンに似ていますので、影響を受けていることを確信しました。

このRDM8025Sはスリーブベアリングファンにはありがちな品質のばらつきも少なく、300円という価格と静音性能でその後2chを中心にブームになりましたが、在庫に限りがあり姿を消しました。その後、長尾製作所の尽力で輸入されることになり、現在は「XINRUILIAN」(シンルイリアン)X-FANとしてメジャーなファンになっていきました。そのあたりは長尾製作所のHPのCOLUMNに詳しく書かれていて参考になりますし面白いです。

■RDL1225S(静音タイプ)
12cmの静音用途に使えるファンはD12SM-12(下図)ぐらいでした。2002年11月頃にXINRULIANと比較しましたが、その時はD12SM-12のほうが風量と静かさのバランスで優位だったと思いますが、現在ではRDL1225Sの静かさが決定的だと思います。このファンを企画しメーカーと折衝を重ねて品質を高めていった長尾製作所の努力の賜物でしょう。


(参考)長尾製作所HP - Fan研究所 - 120mmファン
      YateLoon社のD12SM-12
静音大風量でブームになった電源、SILENT KINGの初期モデルに搭載されていましたが、その後RDL1225Sに変更されています。
モーター径が小さく、羽根が長い、非常に軽量
静音性と風量のバランスが良いファンでしたが、入手性、扱いにくさ、5V動作の不安定など問題も多かった。

(2pinですので3pin加工を施して使っていました。)

      XINRULIAN社のRDL1225S
(静音タイプ) (静圧タイプ)

静音タイプと静圧タイプ
12cmの静音タイプの羽根形状は平形状で角が丸く見たことのない形で、静圧タイプと5V動作で比較すると風きり音の差は殆どわかりませんでした。
静圧タイプの軸音ははチチチチ・・・という連続した音で、静音タイプと同じでないことが残念です。しかし、このチチチチ・・・も音の方向が違ってしまえば聞こえずらい音のようです。またスリーブベアリングでは通常、軸水平であれば静かだが軸垂直になると音が変わってしまうものが殆どであるにかかわらず、この静圧タイプは軸垂直でも音の変化が少なく、このような局面でより静音を求める場合には有効だと思います。

静音タイプの軸音は静かな中にも固体差が多少あり、かすれ音が多少気になることもあります。暫らく使用してから5Vで起動できなくなったり、軸音が変化してシュルシュル音がしてしまう事こといまうものもあります。扱い方が悪いせいかも知れませんがから慎重に扱いましょう。(店にあるものは客が落下させてしまった可能性もある)

下図の8cmでは、12cmファンの静圧タイプの羽根形状が静音タイプになっていますが、こちらのほうが通常の分類だと思います。8cm(静圧タイプ)の羽根形状は大きな分類では前述のCRAFT FANと同類のものです。

RDM8025B(静音タイプ) RDM8025B(静圧タイプ)

2Ball[MNB]
上のRDM8025B(2ボールベアリング [NMB製])は、スリーブベアリングには及びませんが、ボールベアリングとしては驚くほど静かです。(8cmファンに限らず、他の大きさのものも同様に良好な静かさです。)また、軸水平から軸垂直に向きをかえても軸音の変化はありませんから、いろいろな局面で使いやすいと思います。

9cmファン-RDL9025S[L]
モーター部の大きさは8cmと同じ、羽根だけが大きく風量は約1.5倍です。軸音は8cmのものよりもやや大きいようですが、実用的には問題ないと思います。

6〜7cmファン-RDL70XXS、RDL60XXS
数種類のファンがありますが、小ささの割りに軸音が気になるものが多いようです。この中で15ミリと薄型のRDL7015Sは軸音が小さくZM-RC1(100Ω×2)で回転数を落とせば非常に静かに使えます。

耐久性
スリーブベアリンクは寿命が短いと言われますが、私の場合は期待寿命の30,000h[周囲温度25℃]まで使い続けたことがありません。1日平均長く見積もって12時間として6年10ヶ月になります。常温よりも高い温度で使用している事や、「ほこりを被ること」で期待寿命は短くなりますが、超低回転で運用しているのでファンの磨耗は少なくなります。
ただしファンを取り付けて暫くすると静音性が損なわれ擦れ音がするようになってファン交換するケースもありますが、5V運用と同様に自己責任です。私の場合はマシンの構成を大きく変える時にファンも変えています。

耐久性と静音の両方でベターな選択をするなら、XINRUILIANの2Ball[MNB]は50,000h[周囲温度25℃]の期待寿命で山洋の40000時間 [周囲温度60℃]に比べれば見劣りがしますが、静音的にはお勧めできます。

風量、騒音による選択
風量に対する騒音値の割合(バランス)の低いものが静かなファンの条件です。しかしファンのスペック表から静かなファンを購入したつもりが、実際に試用してみると思ったよりも風量が少なかったり、耳障りな音であったりすることがあります。一部のメーカーの公表スペックは、どうも耳で聞いた結果と比例していないようです。数値をよく見てみると個々に測定しているのではなく推定値を採用していると思われるものもあります。特に20dB(A)未満のファンは要注意で、低回転ファンで風きり音が少なくなると軸音が目立つことがあります。

こうなると異なるメーカーのファンを公表スペックで比較できないので、自分で比較する方法を考えて使ったのが下図の装置(?)です。おき場所にこまりって破棄してしまいましたが、ファンを比較する要点はよく理解できました。

(材料:文房具屋で売っている角材)

・物干し台のようにファンを吊り下げる骨組みを作ります。

・ファンは紐で吊り下げ振動が伝わらぬようにします。

・電源はファンのついていない外部補助電源などを使用します。

・耳をファン1と2に交互に移動させれば音が大きさや、音質の違いがわかります。(ファンと耳との距離は1cm〜15cmが適当でしょう)

・風量は風によって紙のしなる量を比較しますが、手をかざしたりして体感できます。

風量を同じレベルに調節し騒音量を比較したり、騒音量を同じレベルに調節し風量を比較します。
使う人の耳に聞こえるものが静音の全てですから、アバウトに比較できればいいと思います。

私のファンの選択
静かなファンを探す旅は・・もう既に終わっていました。今はのファンしか使っていません。
XINRUILIANは総じて軸音が静か、静音タイプの羽根形状では風きり音も静か、5V動作で安定性があり、バリエーションが豊富になって、目的にあったファンを選択する事ができると思います。

XINRUILIAN以外のファン(念のため・・)
80x80x25mmのスリーブベアリングに近似したベアリングのファンをいくつかテストしました。
@NoiseBlocker UltraSilentFanS2 2000rpm 29.4CFM 19db(A) (最大値を採用)箱入りなら2980円(バルク≒1000円?)
Aebmpapst CFP-80SG 1500rpm 19.4CFM 12db(A) シンテックスリープベアリング 2480円
BADD CF-80L 1100rpm 12.5CFM 14.2db(A) ハイプロベアリング5V起動不可 1680円
CSPEEZE HYD-0825A(SQ) 1000rpm 13.2CFM 12.8db(A) 静圧流体軸受け 1280円
DCoolJag WJAF8025K3 2000rpm 21.50CFM 20db(A)  1ボール1スリーブ 1,067円
EScythe 鎌フロゥ超静音(SA0825FDB12SL) 1500rpm 19.0CFM 14.0db(A) FDB 934円

ネタのようですが軸音の大きさは価格にほぼ比例しました。(価格が高くなると軸音も大きくなる)
変な名前ですがEScytheの鎌フロゥ超静音は5V動作で安定して静かです。軸垂直でも音の変化はまったくなくXINRUILIANとともに今後使用するファンになると思いました。

@はCFMが、Aはdb(A)の値が他と比べ異常な値になっています。(両方ともにドイツ製です)

また、8cmが静かなメーカーは他の大きさでも静かである可能性が高いですが、その逆はありえません。





Tips

■FANコン(PMW制御)の注意点
FANコンの方式には電圧を下げてファンの回転数を少なくするものと、PWM制御によるものに分類されます。システムテクノロジーのST-01が最初のPWM制御のFANコンだと思いますが、つまみを絞りファンの回転数を落とすと風きり音は少なくなりますが軸音は低周波音に変化しつまみの絞りに比例して、とてもうるさく感じました。その後改良されたスーパーファンコン(ST-24)を使用してみると、PWM制御による音の変化は非常に少なくなっていました。
具体的には、最大回転からつまみが垂直の位置の直前まで徐々にPWM制御による音の変化が大きくなり、垂直の位置でPWM制御による音の変化が無くなり、更に絞っていくと大きくなるという結果でした。
電圧を下げてファンの回転数を少なくするものと比較しなければ気づかない範囲のものだと思います。また、複数のファンでST-24をテストすると同じ型番でも、この音の変化が大きいものと、少ないものがあるようです。
このことから、非常に優れた実用性はともかく、ファンの静音性を比較するテストには使えないということは言えます。
また、他のPMW制御を用いた製品にシステムテクノロジーのST-24以降の製品のような「PWM制御による音の変化を少なくする工夫」がされているかどうかはわかりませんので注意が必要だと思います。

絶対的な静音を求める
いくらヒートシンクを大きくしたり、発熱量の少ないパーツを使ったりしても、そこにファンが在るのと無いのでは大きな違いです。そこでファンをコントロールし最低の回転数でファンを動作させるのですが、ファンの初期起動には大きな電圧が必要で起動してしまえば、少ない電圧で回転を継続することができます。

一番妥当だと思うのはシステムテクノロジーのスーパーファンコンを使用することですが、静音へのこだわりが強かったり、別のファンコンを使用している場合には別の方法が必要です。

手動でFANコントローラーを操作(後述の固定抵抗などと組み合わせる方法)してもいいのですが、Speedfanと任意のFANコントローラーを併用することで解決できます。Windowsが起動するまでは、Speedfanは起動しませんのでファンの初期起動が可能になるはずです。
Speedfanだけで運用してもいいのですが、初期起動のファンの騒音がストレスになりますし、微妙な回転数の調整が難しい。

ファンコントローラーの下限よりもファンの回転数を少なくしたい
前述のSpeedfanとFANコントローラーを併用する方法のほかに、固定抵抗(ZALMAN ZM-RC1)や可変抵抗(ZALMAN FanMate)と組み合わせて任意の回転数にします。また、ZM-RC1の固定抵抗100Ω×2という方法もあります。

5Vでファンを動かす
言い換えると、「5V動作をしたときに適当な風量になるファン」を選ぶということになります。低速のファンの5V動作で風量が足りない場合は、中高速ファンの5V動作がちょうどよいということもあります。
・12Vと5Vを組み替える
 AINEX WA-864の12V(黄色)を5V(左端)の位置に組み替えると4台の5Vができます。
・USBの5Vを拾う製品(SELLING USB-FAN
・12v→5v分岐ケーブル ZALMAN ZM-MC1

5Vや7Vで動かす
CA-MPP2

AINEXがこんな便利な分配器を作りました。

ファンを上向きや下向きで使う(軸水平以外の使用)
スリーブベアリングファンでは基本的に軸水平以外の使用がいけないこととされてます。XINRULIANではスリーブベアリングファンの軸水平以外の使用も問題なしとされていますが、実際には「シュルシュル音」がしてうるさくなってしまいます。ボールベアリングファンではどの向きでも音の変化はありませんので、ボールベアリングのほうが静かに運用できるでしょう。
しかし、例外もあってRDL1225S(静圧タイプ)は軸垂直にしても音の変化は少ないと思います。

電源のファン
・排気ファンのファンガードの切除(参考
・吸気スリットの拡大
・排気ファンを電源の外側につけ、電源の内部のパーツとの距離をおくことで騒音量が減ります。 長尾製作所のXINRULIANには長いネジが付属しているので、少々難しいですができるはずです。 PCケースがファンの取付けの障害になることもありますが、ニブリングカッター等で干渉部分を切除すればいいでしょう。
※電源ユニット内に空気が流れることは、多くの電源内のパーツにより風きり音が発生するので、より静音化したいユーザーにはファンレス電源をお勧めします。

ファンの振動による騒音
ファンはHDDほどではありませんが、少なからず振動があり、それに伴ってケースから微騒音が発生します。厚みのあるスチールケースでは気になることは殆どないと思いますが、アルミケースや側板にファンを取り付けた場合など顕著な騒音になり、場合によっては軸音が大きくなることもあります。口径の大きなファンのほうがより大きな振動を持つ傾向があります。対策としてはケース側を制振する方法もありますが、振動を吸収しケースに伝えないほうが完全な対策になると思います。スポンジは安価で振動の吸収に非常に優れた素材です。スマートには使えませんが完全な対策を求める人にはお勧めできます。
他にもブチルゴムテープやマジックテープ、ゴム紐など振動を吸収できる素材もあり、自由な発想で活用できると思います。

■ファンフォルダー(2005/1/17 追加)
【材料】100円shopで売っているものです。
・ポリプロピレン製の薄い板(書類ケースや、クリアファイルの表紙)、隙間テープ(スポンジ)、マジックテープ
【製作のポイント】
ファンが飛び出さないように入り口を少し狭めます。

静かさも排気量も向上させたい
・ケースファンの排気口
この2枚の画像を見て同じファンを取り付けたら、どちらが風量が多いか一目瞭然ですね。また、風穴は風きり音の原因になります。
いまだに左の画像のようなケースが多いのですが、左の画像のように加工したいものです。私は、ニブリングカッターで力任せにあけてしまいます。
・流路抵抗-負荷騒音
日本サーボの技術資料(ソリトン台3号)のP6をごらんください。
つまりケース内の負圧が高まるとファンの騒音が増し、風量も少なくなります。
負圧を下げる方法は、前面に吸気ファンを設置する方法もありますが、静音的には吸気面積を増やすことが望ましいと思います。経験的には最低でも排気ファンの面積以上の吸気面積がほしいと考えています。しかし、PCケースは多少の防音効果があるのでその恩恵を無にしないように、(理想としては)ケース底に吸気口を作ることが望ましいと思います。
・口径の大きいファンを低速で回転させる
口径の大きいファン(9cm、12cm)は風量が多いので回転数を少なくしても必要な風量を稼げます。その結果静かになることが多いと思いますが、より振動のエネルギーが大きい為、共振する可能性もあり注意も必要です。
・8cmファンを並列に2個使用する
騒音は騒音源が複数になっても騒音量は加算されていくわけではありません。複数の騒音源では、もっとも大きな音と特徴的な音が耳に聞こえやすいということです。同じファン2個では1個の時よりも若干うるさくなりますが、2倍の音量にはなりません。1個のファンでまかなっている風量を2個の低速化したファンで分散できればより静かになります。
8cmファンは静音的に当たり外れがすくなく安定しているので確実な方法だと思います。
<参考>
オリエンタルモーター技術資料

■吹きつけファン
ケース全体のエアフローで個々のパーツを冷却することが望ましいと思いますが、それにより十分な冷却が望めない場合には、低速化ファンであれば個々のパーツに吹きつけるファンを使用することも、静音的なネックにならないと思います。

(参考)以前のこのページ
作成 2005.1. 3
更新 2005.1.17

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