ハードディスクの静音化

smart driveを超える静かさを手に入れる方法


【ハードディスクの騒音について】
メーカーや種類によって異なりますが、大体のこのようなところです。
起動時の音 キュイーーンという大きな音がします。
富士通製などはカーンという音がするものがありました。
稼動中の音
(IDLE中の音)
キーンという高周波音。
サーという静かな音。(風きり音に似ている)
ブーンという中低音。
ゴーという低音。
(周期的なうねりがある場合もあります)
振動の伝播による共振音(ブーン)いう音。
複数の音で構成されるので、他の音と聞き違えることもあり、電源の風きり音と似た音で紛れている場合もあります。
アクセス中の音
(シーク音)
ガ〜ゴ行系の音です。
ゴリゴリゴリとかガガガ、ゴゴゴゴ、という稼動中よりも大きな音がします。
終了時の音 キューとかコーンというような音がします。

【静音の必要性と目的】
よく静音化は「モグラたたきゲーム」に例えられます。あるパーツの静音化対策により別のパーツの騒音が強調されるようになります。つまりCPUクーラーや電源の静音化をすると、ハードディスクをうるさいと思うことになります。特に「稼動中の音」のなかでも高周波音は嫌いな人が多いと思います。アクセス時の音は特に音圧が強くなければ気にならなかったり、逆に好ましく感じる方もいることは理解できます。

ある程度の静音対策後にまだ音がする場合それがハードディスクであることがよくあります。
ハードディスクの音はケース内で反響、共鳴し増幅されるもので、単体ではよくわからない場合がありますので一度ハードディスクを外して起動し(BIOS画面で止めておく)音を確認するといいと思います。また、ファンの検証でATX電源を自立起動していますが、これでハードディスクのみ起動するのもいい方法です。

【静音の方法】
1.ハードディスクを選択する。
静かなハードディスクを使うことが、静音化では最も有効です。一般的には同じメーカーなら、7200rpmより5400rpm、ディスク容量が小さいほうが若干静かです。また昔の製品よりも現在の製品の方が静かな傾向があります。
静音的なハードディスクの評価

2.密閉する。
2.1 Smart Driveに学ぶ。

密閉することの難しさは、この製品にもプリントされているSilent&Coolということです。それなりの効果・満足度があり6000円前後という価格にもかかわらず300万台も売れているとのことですが、どのようにして静音性と冷却性を実現しているのか、よく観察してみましょう。
→販売終了です。現在は 「Smart Drive 2002」が流通していますが、内部構造は基本的に同じです。
◆外観と内部構造
1  2 
3  4 
◆観察
1.外観 5インチベイに収まるようになっており、もとのハードディスクの大きさよりもかなり大きい。
外側はアルマイト加工がされていて(内側はされていない)、表面積の大きさもあるので、放熱効果が高い。反面、5インチベイの大きさに合わせてある事が、構造上の制約と考えます。
2.左(上部) ふたです。2ミリのアルミ板に1ミリのアルミ板が貼ってあるように見えます。
しかし厚みが6ミリあり、内側に4.(右)と同じように青いソルボセインが封入されていると思います。下部と接触する部分には1ミリのゴムが貼ってあります。
2.右(下部) 外側は2ミリのアルミ板、内側は1ミリのアルミ板でハードディスクを包み込むようになっています。
また、内外のアルミ板の間にはスポンジゴムが入れられています。ケーブル側にはビニールカバーがあり、密閉性を高めていますが、この画像ではつけ忘れています。
3.スポンジゴム 2.(下部)からスポンジゴムをとったところ。
4.左(内側) サイドが内側に傾斜していてハードディスクがピッタリと密着するようになっています。
6.右(外側) セルボセインが貼られています。(120×90×3ミリ)
表面は粘着性があり、指で触れた感触ではやや冷たい印象です。(注1)
(注1) SORBOTHANE(セルボセイン)
 http://www.sorbothane.com/index01.htm
 http://www.sorbo-japan.com/industrial/5th.html

◆考察
ハードディスクの熱は内側のアルミに吸収され、ソルボセインを通して、外側のアルミケースに伝えられる。
ソルボセインは粘着性があり密着性が高く、熱伝導性の低さをある程度補っています。しかし、http://www.users-side.co.jp/catalog/gup/smartdrva.htmで紹介されている外部温度よりも内部温度が低いということは、少なくても私のPC環境では実現せず、約8度内部温度が高くなります。(通気性の高い環境では温度差が大きくなると思います。)
上部と下部の接触する部分は、上部にゴムが貼ってあり、6本のネジで密閉される。概ね気密性が高いが、ケーブルまわりはかなり考慮されているものの、若干の隙間があり、音が漏れる。
2ミリ厚のアルミの遮音性が十分であるか、不十分であるかは意見が分かれると思います。「静音化の為の科学」の遮音材を参照するとアルミの透過損失は銅や鉄の半分以下です。
ハードディスクの振動はソルボセインにより吸収され、微振動のレベルになりますが、十分ではありません。
高周波音が軽減にはソルボセインが有効に機能しているようです。外側のケースとハードディスクが直接接触していないのが、効果的であるようです。しかし、完全ではありません。

◆運用
メーカーが意図するように5インチベイに入れると、熱がケースに伝わり放熱効果ではいいのですが、微振動がケースに伝わりブーンという気になる音が発生します。そこで、静音を実践するユーザーでは隠れた常識であるのがクッション材の上に床置きする方法です。
《参考事例−1》
また、静かになるといってもより以上の静音を求める向きには、ケース内の防音が必要になり、特にケース前部などのの吸気口と、音漏れの問題はバランスが難しく、ハードディスクの温度とケースの密閉性を両立させることは非常に難しくなります。
《参考事例−2》のように吸気・給排を背面にしゴムで可能な限り遮音してしまえば静音性は最高になりますが、低音が大きい場合には、微かに聞こえてしまいます。また、温度も高めになりますので夏季の運用は難しく(素直に風量を増加させればいいのですが・・・)、スマートな方法ではありません。
また住宅の遮音・防音の方法が、PCにも応用できることが多いです。(参考まで)
http://www.ads-network.co.jp/kiso/ki-a-04.htm

《参考事例−3》 
画鋲スパイクという、スパイク支持を応用した方法です。
最近知った方法ですが、スポンジのような不安定さがないので、現在のお勧めです。(H15/1)
訂正、どうもPCを触ることが多く、そのためか画鋲が曲がってしまうので、私自身は使わなくなりました。)

《参考事例−4》 
必要なことは、HDDの振動をケースに伝えない・設置状態が変化しないことなので、柔軟にいろいろなことを
試してみました。(H15/10)
また最近の5400rpmのHDDはものによっては振動も非常に少なく、5インチベイにセットしてもブーン音は発生しません。
ちなみに昔の40Gプラッタ7200rpmよりも現在の80Gプラッタ5400rpmのほうが速いようです。
→SAMSUNGのSpinPointV80シリーズのことなんですけど・・・ちょっと高音が気になりますが
当然低発熱・低騒音ですので扱いやすいと思います。(H15/10)

2.2 自作のハードディスクケース
◆考え方
基本はSmartDriveと少し違う考え方で、静音性を高めることです。特に5インチベイという規格にとらわれない事は、有利な条件となります。まずは、あぶさん、NU-さんの例を紹介します。非常に参考になります。

静音願望〜あぶさんの工作室から
 ・ハードディスクのサイドとハードディスクケースが直接触れているので、熱伝導性に優れています。
 ・アルミの厚さは6ミリで遮音性も高く、内部に吸音材を使用するのも非常に効果の高い方法です。
  理解しやすい優れた設計がいろいろされています。
 ・難点は一般人にはマネができないことと、金属同士の接触でアクセス音が聞こえやすい可能性です。

快適なPC(早くて静か)へのトライ (NU-さん)から
 ・いろいろなアプローチを紹介してくれています。特に、シリコンを液状のまま使い密着性を高め、
  ゴムを放熱面として使う独自の発想には驚かされます。

自作HDDケース−1《参考事例−3》
次に私が作ったものを紹介します。特別安くもないですが、特別な工具や技術がなくても、少しなら寸断の誤差があっても破綻しないのがいいところです。(Barracuda ATA IV専用です。)

 ・熱伝導に優れていますが、表面積が限られています。また、広い面積で熱を吸収しているようで、
  ラベルが貼ってあり、特に基盤側は曲がっていて以外に接触面積が少ないのが問題です。
 (s.m.a.r.t.温度とのアルミ板の表面温度の差は4度ですから、薄いアルミ板をゴム部分に拡張すれば、
  もう少し下がると思います。)
 ・SmartDriveよりは静かになりますが、無音ではありません。
 ・ハードディスクとケースが直接接触するので、高周波音の大きいハードディスクには向きません。
 ・10oのアルミ板とゴム板の遮音性はある程度あります。
 ・振動はSmartDriveよりは抑えられますが、無くなりません。

自作HDDケース−2《参考事例−4》
 「IBM Deskstar 120GXP」はもともとの音が大きくて、いくら防音しても音が消えませんが、これでようやく使ってもいいレベルになります。それでも深夜の静寂では有音ですが、上のBarracuda ATA IV+自作ケース1の方が大分静かです。
放熱についてはほぼSmart Driveと同じレベルです。

 ・吸音材の使い方として、このように密閉されたケースの中では大きな効果があります。
 ・アルミ角棒は、面積の少なさが問題ではなく、ハードディスクや外側のアルミとの密着性が問題だと思います。

自作HDDケース−3《参考事例−5》
 総アルミで放熱効果をあげました。扱いやすさに負けてDIPOLGY吸音材カームフレックスF2、カームフレックスRC
 などを使用して相応の効果が認められましたが、費用もかかります。
 東レの防音シートを巻きつけたことで、HDDケースでは今までとは次元の違う静かさに辿り着きました。
 (ようやく最低回転数のファンの方がうるさくなりました。)
 冷却性もある程度はあり、暫くはこれで常用しようと思います。

自作HDDケース−4《参考事例−6》
 市販のアルミケースを加工して、上記以上の静音性の高いケースを作ったつもりです。
 ヒートシンクを貼っているので、空気の流れがあれば十分に冷えます。

自作HDDケース−5《参考事例−7》
 上記のHDDケースから、アルミの皮を脱がせた形のものです。
金属を加工しないで静音性と放熱性に優れたケースを作りました。

【温度上昇についての注意】
このように、静音重視にすると、ハードディスクの温度が上昇していきます。
ハードディスクの設置条件。英文が読めないので、富士通のマニアルをみて見ると、
http://hdd.fujitsu.com/tips/index.html
http://hdd.fujitsu.com/drive/mpg3xxxat/catalog.html
(さすが国産メーカー平易に書かれてて、ありがたいです。MPGは静かなのに撤退が残念。)
環境温度で55度、DE表面温度(放熱板の付近でいいらしい)60度が限界らしい。(IBMやMAXTORも同じ)
また最近Seagateも日本語のHPを提供してくれました。
http://www.seagate-asia.com/sgt/japan/homepage.jsp
http://www.seagate-asia.com/sgt/japan/discproductlist.jsp?type=group&groupId=25
ここでは、周囲温度が60度になっています。

60度でもHDDは正常に動作するはずですが、HDDの寿命を早く消化していくでしょう。
但し、仮に50度で1日に2時間しか使用しないHDDと、35度で1日中動作しているHDDとどちらが
長く使えるかという問題では、50度で1日に2時間しか使用しないHDDが早く壊れるとは、
断言できないと思います。 

またHDDは凸凹が多いのでSmartDriveとの接触面積は多くありません。
中でも特に温度が高いのはICチップですので、熱伝導ゲルで熱を逃がせば効果的にHDDを冷やすことができそうです。
最近のSATAモデルは概して温度が高く、特にICチップからの発熱は確かに無視できないものがあります。
いっそのこと内部のセルボセイン(3ミリ厚)を柔らかい熱伝導ゲル(40倍の熱伝導率)に一部でも交換すればかなり違ってくるでしょう。
(注)やったことはないです。
<2003.10.18>

s.m.a.r.t.で検出した温度を表示するソフト
DTempSpeedfansiguardian

「MIC-NET TAMA」の「ハードディスクメインページ」から有用な情報が得られると思います。
http://www.mic.or.jp/
ハードディスクの温度と平均故障間隔の相関グラフから、ハードディスクを止めないで使う場合は、温度が下がることもないので、慎重な温度設定にする方がよろしいと思います。そうでない場合は、温度が下がってからまたあがるということで、負荷ははるかに軽くなります。

【ハードディスクの電源を切る】
電源のプロパティの調整やBIOSに、ハードディスクが使われないとハードディスクを休止状態にする時間が指定できるようになっています。マスター&スレーブの2台で運用されているユーザーは多いと思いますが、スレーブが休止していてくれれば、少しは騒音レベルが下がりますし、温度の上昇も少ないので有利だと思います。
私の場合はスレーブは、TV録画とマスターのバックアップに使い、この用途以外は殆ど休止させています。
ちなみに温度監視するソフトが常駐(トレイにある)していると、スレーブが休止しません。

【SMART DRIVE以外の製品について】

SMART DRIVE Copper」
グロウアップ・ジャパン
http://www.gup.co.jp/
ユーザーサイド本店から
http://www.users-side.co.jp/shopping/list_nfrm_case_hdd.php
関連記事
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2002/05/15/635763-000.html
放熱については緩衝材(ソルボセイン)がそのまま使われてますので大幅には変わらないと思いますが、
遮音性、振動吸収性についてはかなり向上しています。
5インチベイに格納すると、通常は振動から発生する2次的な音が発生しますが、これならば皆無ではありませんが
許容できるユーザーは多いと思います。
市販の静音箱の静音性としては、最高のものだと思います。
もう販売は終了しました。



Smart Drive 2002
グロウアップ・ジャパン
http://www.gup.co.jp/
ユーザーサイド本店から
http://www.users-side.co.jp/shopping/list_nfrm_case_hdd.php
関連記事
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20020727/ni_i_hd.html#sd2002r
ユーザーサイドによれば、ノーマル版よりも3度冷えるそうです。
ただし静音性は初代よりも若干劣るという意見が多いようです。
(注)所有していません

PH-35BH Pro
ジャパンバリュー
http://www.jjv.ne.jp/
関連記事
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2002/07/09/637103-000.html
効果が顕著な静音対策をしていると思えないので、購入しませんでした。
この製品は静音よりも、冷却性や他の付加価値に存在意義があるのではないでしょうか?
(注)所有していません

PH-35B2 Pro
ジャパンバリュー
http://www.jjv.co.jp/PH-35B2%20Pro/
関連記事
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20031011/ni_i_hc.html#ph35b2pro
新素材に惹かれ購入しましたが、静音性能はSmartDriveにかなり劣ります。
防振効果については完全ではありませんが高いレベルで、HDDそのものの振動を押さえ込んでいます。
冷却性については基盤面から熱伝導性電磁波吸収ゲルを通してHDDケースの下部に伝わります。
上部についてはグラファイトフェルト(電磁波吸収能力ありとのこと)が圧縮されたされていることで熱を
伝えることとされていますが、冷却性に優れたものではないと思います。
このHDDケースは共振から発生する低周波音には効果があるでしょう。
<2003/10>

ダイポルギー HDDサイレンサー」
関連記事
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030125/newitem.html(中間辺り)
4000円弱と比較的安価です。
(注)所有していません

「DOS/Vマガジン」のレビューでは、静音性、冷却性ともに、他の製品に劣っていたそうです。

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