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えと
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鋼の娘/近藤ようこ |
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映画の話
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ずーっと、ずーっと読んでみたくてしょうがなかった近藤ようこ作品。まず絵がたまらない。そっけない、弾力のない線なのに、これ以上ないくらい、含みのあるふくよかな絵。こういう絵って、練習するだけじゃ描けないんだろうな。上手に絵を描けるようになりたいけれど、それ以上に、こういう色っぽい線を描けるようになったら一人前といえるかもしれない。絵描きとしてと言うより女として。 足のつく浅い堀で、愛する人のさしのべる手をまつ女。けして溺れない、かといってまたいで渡れない水に腰までつかって、ゆらゆらと水の圧力に押されよろめきながら、幸せの、あるいは絶望の瞬間を待つ、へんに安らいだ時間。近藤ようこの絵はそういう水っぽいあたたかさがあるような気がする。 内向的な主人公の心情には、共感できると同時に、そのわがままさ自分勝手さに、我が身を見るようでイライラもさせられる。自分で心を開かずに、他人が思うようにならないと勝手に絶望して拒絶する。 傷つくまいとして傷つく。 皆がそれぞれに、傷ついた中身をさとられまいと、鋼でよろいをつくってゆく。そんなのは、いつまでもうまくゆくはずがない。 そんななかで、一人無神経に明るい主人公の彼氏。「彼はきっとなにもわかってない」。わかってなくていいのだ。太陽はいちいち地上の出来事に注意を払わないし、顔を出さない日もあるけど、いつだってかわらず地球をみつめている。 |