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死に花2004/05/23

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達がタダ券もらったつーことで、久々の劇場での鑑賞。
やっぱり劇場行かなければね。ナンバの国際会館行ったんだけど、シネコン全盛の昨今、ここみたいな映画館がまだあるんやーというところに感動。商店街というか、繁華街に違和感のない外観にかかわらず、一歩はいるとなんかしょぼい中庭?があって、ベンチがあって、長屋のあつまる町の公園かなんかに迷い込んだような感覚。「お手洗いはこちら」とかかれた手描きのでっかい手のポスターはあるし、開場してみると正面にはレトロな字体でかかげられた「国際会館」の文字…とれそう。座席の両脇には一段高い通路があり、花道みたい。ちょっと変わってるよね?けっこう大きい劇場だし、俳優さんの舞台挨拶なんかあると渋い感じになるんやろなー。なんかホッとできる空間ですよ。
そんな人入らんやろう…とタカをくくっていたら、来るわ来るわ。
狭い受付を通ってお客がわんさか。大きい劇場がいっぱいになってました。老人を描いた映画だからかなんなのか、なんとなく中年以上の人が多かったような気もする。

級老人ホームに暮らす年寄り4人、それにホームのマドンナ、ぴちぴちの職員、それに川沿いで暮らすホームレスが、銀行の金庫めざして穴を掘る。金にモノを言わせて、本格的な機械を買い、周囲を鮮やかにあざむく。人生や生活に不満はないけど、もうひと花咲かせたい、恋だってしたい。これで終わりじゃない…と、まっすぐに。

なにしろ邪念がない。無邪気にいたづらする目は子どものようだったりもするけど、やっぱり長い年月を生きてきた故の輝きであり、決断力だったりする。はっきり言ってがむしゃらに突っ走る年寄りは、カッコイイ。もっと言ってしまえば「色っぽい」。なんだろう、この色気は。ここで言う色気とはお色気の「色気」でなく、どうしようもなく目が離せなくなる引力、のようなもののこと。
山崎努は惜しげもなく鍛えた肉体美をさらし、同時に思うようにいかなくなった自分の機能に情けない気持ちになりながらも恋をすることをためらわない。宇津井健はかつて会社を追われる原因になった男を見て、どうしようもなくこみ上げる怒りを周囲はばからずぶちまける。青山幸夫は年甲斐もなく若いおねーちゃんを追いかけ続けるおちゃめさんで、サスペンダーの似合う谷啓はおしゃれで知的。
みんなキャラクターとして楽しい、イイ!と思うと同時に、にじみ出る「色気」があるんだよね…それが役のものなのか、俳優さんのものなのか分からないけど。けして、見た目のカッコヨサとは関係がない。老人だから、若い頃より出来ないことは多いし自分自身を情けなく思うときもある。でも、これ見ると「年寄りってウラヤマシイ!」と思うのよ。

うに、色気の「色」って「死」のそばにあるものなんじゃないだろうか。あるいは「死そのもの」であるかもしれない。
生まれたときから人は「生命」を使い、目減りし、死ぬときには貧相な姿でいなくなる。生から死は、坂道や階段を、あるいはビルの屋上からころげ落ちるようなモノかもしれない。
そうではなく、生と死の間には始め厚い壁があり、年を経るに連れて海に岸壁を削られるようにその壁は薄くなっていく。死が近づくに連れ、壁は紙のように薄くなり、あちらがわの「死」が、ほの明かりのように透けて見えたりする…そんなようなものが「色」ではないかしら。壁というか…殻の厚い卵でもいいや。殻のなかにいるのは人間ではなく、「死」で、みんなひとつづつ「死」をもって生まれる。そんでだんだん殻が薄くなっていって、最後には中の様子が透けて見える…ような。
この映画を見て、ふと、こういうイメージが浮かんできたのだ。美しいイメージ。美し過ぎるかな??
死を覚悟するとふっきれたようにスゴイ力が出せるとか、加えて死を美化しようってんじゃありませんよ。否が応でも「死の気配」を自覚した人は、若い人には見えない何かを見て日々暮らすわけだから。我々よりも、いろんなものを持っていて当然なわけよ。
まあ、お年寄りに限らないだろうと思う。若くても、死を自覚した人は、何か違うのかもしれない。色気があるかどうかは、その人に会ってみないとわからん。

葬式の場面があり、陽気なお別れ会になっていたけど、やっぱりその場にアノ人がいない、というのは辛くて寂しくてしょうがない。残された人を楽しい気持ちになるような会になっていたけど、それでも死んでしまった今、そんなことは故人には伝わらないわけで、こんな葬式やってみたい、と思うと同時に、やっぱり死んで尚映像などに残る姿などはどうしようもなく滑稽で悲しかったりもした。
また、白寿のお祝いの場面などは、たしかにおめでたいお祝いには違いないけど、どうしようもなく衰えた人間の哀しさとか、寂しさとかを感じてしまう。
本当に、生きていく、死んでいくって悲しいね。それでも生きてるうちは、花咲いていたいね。咲かせなければ。というより、咲かずにはおれないものなんだ、きっと。もうすぐ死ぬからって、花が花であることをあきらめるはずはないもの。

そんな、いろんなことを考えた映画でした。
陽気で楽しいよ!そんでちょっぴり泣ける。別に「老人問題について考えさせられた…」とか説教臭くなる映画でもないし、幸せな気持ちになる映画。もう一回見たい!

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