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「愛シテヰルコトヲオ許シクダサイ」「をぢさんがくだばってゐたら、お墓のなかへたづねてくるといい。…石をコンコンコンと三つたたいて合図したまえ。お湯をわかして待っているからね」「女が小説を書く。これは化物の仕事だ。女の化物。これを妖女といふ。」「女は地をはつて埃を食べながらうつくしいへびになればいい」…

前にもこの人の小説読んだことはあったけど、あんまり覚えてなかった。「大人のための残酷童話」とかはけっこうおもしろかったけど、他のはエロくてグロい印象だけが強かったような…。読んでるときの、コンディションの問題だろうか。
この話もエロくてグロいのだけど、エログロというよりは、徹頭徹尾「グロテスク」たと思った。「グロテスク」ってのは、こういう小説のことを言うのだな、と、はじめてをそれを目の当たりにしたような気分になった。

り口はやさしい。こどもに話して聞かせるおとぎ話のようなやわらかさで、飼い主に欲情して話しかける犬やら、恋人にもらった小説をかく腕やら。やさしく途方もないところに振り回してくれるので、スゴク面白くてスリリング。あんまり振り回してくれるので、重力の方向もわからなくなって、自分が立っていた位置を見失ってしまい、酔う。
これが、適度なアルコールによる酔いでなく、深酒した時のような、車酔いのような「酔い」なのは「グロテスク」だから。あとあじのすっきりしたお酒を飲んでいるつもりで、いつのまにか悪い男にだまされて、度数の高いお酒を飲まされていたよう。不快ではあるけど、不愉快ではない。むしろ愉快。

にがグロテスクかって、はたから見ている私(読者)におかまいなく、夢だかほんとだか、冗談だか本気だかわかんないことを平気でしゃべり続けるキャラクタたちはグロテスク以外の何物でもない。まちなか、道ばたで、ストリップだかスプラッタだかを見せられてるようなかんじ(我ながら言い得て妙)。
でもふしぎに汚くなくないので、明るい緑の野原で遊ぶ、こどもを見ているような気持ちになる。実際キャラクタたちは、エロくてグロいなりに切実に、透明に欲望とか希望について能書きをたれているだけなのだ。ただの夢物語であるともいう。夢のようにとりとめもなく、不条理な世界。

番グロテスクなのは、「女にして作家であること(あとがき)」だそうだ。そうかな?と思ったけど、考えてみれば確かに、女がこどもも産まず、とりとめのないものを書き付けて暮らすというのは、男が妊娠すると同じくらいグロテスクであるような気もしてくる。けして男尊女卑とか、無粋なことを主張してるのではなく。
女が人間という動物から脱却して智恵を持ったときから、女はすでに人間ではなく化物として地を這うしかない。それが女の選んだ道であるし、女だけが化物になりうるとも言う。世界には男という人間と、母親と、女という化物しかいない。それが世界の定めた役割であるらしい。

なんか少女漫画みたい?全編にわたって、愛しい言い回しとシチュエーションに満ちていた。

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