心房中隔欠損症とは
 右心房と左心房の間の壁である心房中隔が、発生途中で、完成しなかった疾患を言います。先天性心疾患の約7にあたります。
  
 心房中隔に欠損があるため、肺から、新鮮な血液をもらって、戻ってきた血液
(動脈血<赤>)が左心房から右心房へ逆流してしまうのです。通常は左心房から左心室に入り全身に送られるわけですから、大切な新鮮な血液の一部は身体に回ることができず、また肺へ戻ってしまうのです。つまり、子供たちは、少ない動脈血で全身を維持していることになります。
 
 手術をおこなった方のお話を聞きますと、欠損孔が11〜15ミリ程度でも、約3分の2が逆流していたと言う方もおられました。実際、子供の様子には変化が見られなくても、いかに身体に負担がかかり、手術が必要かを考えさせられます。
 
 通常、大動脈から全身に送られるべき血液の
50パーセント以上がもれている場合、手術が適応と診断されているようです。

 よほど、孔が大きくない限り、無症状で、心臓の雑音も殆どないため、赤ちゃんの間は見つけにくいようです。聴診器で丁寧に聴かないと聞こえないようで、小さいうちは判明できず、小学校や中学校へ入った時の心電図検査で判る場合もあるのです。
  チアノーゼも出ず、たいてい、ケロっとしていることが多いのです。体格的にはやせぎみの子が多いようですが、身長は逆にのびる子もいるとか・・・わが子も身長はけっこう、大きめです。同じ月齢の子と比べても、大きい方で、かえってたくましくすらみえます。
 
 
欠損孔は塞がることはないの??
 
もともとお母さんのお腹の中にいる時には、すべての赤ちゃんで心房中隔に穴があいています。これを『卵円孔開存』といいます。ほとんどの子は産まれて数日で閉じてしまいますが、時々、1、2歳まであいている場合があり、これは、自然閉鎖が期待できます。『卵円孔開存』(下図1)と『心房中隔欠損』(下図2)は、心エコーで区別がつくらしいのですが、どちらか、迷う時もあるようです。最近では、『心房中間隔欠損』と判断されていても、1センチ以下は1歳までに自然閉鎖することが多いことがわかってきたそうです。
 
 でも、残念ながら、
1歳以上で、1センチ以上の孔は自然閉鎖しないと言われています。でも、決して、100%ではありませんよね。わが子の主治医は『医学に100パーセントはありません。』と言います。望みは捨てずにいたいものです。 
 しかし、
逆に全く閉じる傾向がなく、体が大きくなって心臓も大きくなるにつれて、穴も大きくなる子もいます。こういった子は、やはり、手術になってしまいます。 
下図1
下図2
 では、その穴を塞がずにおいたらどうなるのでしょう・・・
 
こんなに元気なわが子に、どうしてメスをいれなければならないのか、思い悩むパパママもたくさんいるでしょう。私もその一人です。
 
 全身に行き渡ることなく、右心房へ逆流してしまったこの血液は、右心室から、肺動脈へ、肺動脈から肺へと移ります。例えば、この血液の量が2倍だったと考えます。そうすると、5歳の時には肺は10年分の血液が流れたことになり、10歳には20年分、20歳には40年分、言い換えると、肺だけ、40歳になっているわけです。ですから、じわじわと、症状はあらわれ、30歳を越えた頃には肺への負担は大きくなり、息切れがし、階段の昇り降りも苦しくなってくるのです。
 それで、、肺の負担があらわれる前に、手術をするのが、最も良いと言われるわけです。わが子の主治医はこんなことも言っています。
『小学校に入り、みんなより、体力的に劣っていることがわかるようになると、だんだん、消極的な性格になる子が多い。だから、負担を感じさせる前に手術したほうがいい』
なるほど、子供に、体力的な部分だけでなく、精神的にも負担をかけてしまうのかと考えると、なおさら、手術の必要性を考えさせられます。
 今は元気なわが子。肺に負担がかかってくると、具体的にどのような症状になるのでしょう・・・
 
 心臓の左側と右側は同じ量の血液が流れています。欠損孔があると、動脈血<赤>が静脈血<青>の方に流れ込むので、
右心房、右心室、肺動脈、そして肺に負担がかかってしまい、肥大してきます。肺の末梢にうっ血がおこり、風邪を引きやすくなり、肺炎などにかかりやすくなります。そして、さらに、病状が進むと、肺の末梢血管病変が進行し、肺動脈血が高くなるのです。(でも、こういった肺高血圧の症状が出るのは稀なようです。)30歳代になってから手術をしても、この血圧を下げることはできなくなるわけです。
 
 でも、左心房は実際に血液を各所に送り出す左心室より圧力が弱いので、心房中隔欠損症は、心室中隔欠損症より、チアノーゼや、肺高血圧などの症状が出にくいとされます。
心房中隔欠損症の子供の育て方
 重症がでない限りまったく、普通に育ててかまわないと言われます。過保護にするのはやめて、偏食させないようにします。バランスのとれた食事は、体力と感染に対する抵抗力を高めることになるそうです。
 でも、まずは主治医の先生とよく相談し、その指示に従うのが一番です。
 予防接種も重症でない限り、積極的に受けたほうがいいそうです。手術前後は予防接種が受けられないそうですので、あらかじめ、計算して、摂取しておいたほうがいいですね。
あまり、心配せず、病気を思いやるより、普通に育ててあげることの方が大切のようですね。