韓国旅行記 【シンダンドントッポキ】


1999年1月3日(日)

 韓国ではヤンニョム(トウガラシ味噌に醤油とか薬味を混ぜたもの。ビビンバの上にのっかっている赤いどろっとしたやつ。日本語の「たれ」にあたる?)を混ぜて鉄板で焼いて食べるタイプの食事が流行っている。タッカルビ(鶏肉カルビ)が代表的な食べ物で、新林洞のスンデなども、同じようにして食べる。そしてこの「シンダンドン(新堂洞)トッポキ」も同じ系統の食べ物だ。

 因みにトッポキは町中の屋台でもよく売られているので、食べたことがある人も多いだろう。真っ赤なたれのような汁に浸かった、うどんのお化けのような「スティック餅」だ。これが一般のトッポキなのだが、シンダンドンのはひと味違う。これを味わってみるために、「トッポキ通り」のあるシンダンドンを訪ねてみた。

地図 シンダンドンへはバスでも地下鉄でも簡単に行ける。トンデムンウンドンジャン駅(東大門運動場駅)の一つ東側のシンダン(新堂)駅の近くだ。ってことは、当然、トンデムンシジャンの東に位置していることになる。地下鉄で行くとすると、シンダン(新堂)駅で降りて、一旦、東大門の方にバックして大きな交差点を渡る。そして南にある広場のような大きな道を南に入っていくと店が見えてくるはずだ。あるいは、東大門運動場と地下鉄5号線のチョング(青丘)駅との間といった方が分かりやすいだろうか? 距離的にはチョング駅からの方が近いと思う。チョング駅からは北にまっすぐ行くだけでいい。

 因みにこのシンダンドンは、シルリムドンのスンデに比べると、街全体がトッポキの店というところにまでは発展していない。まだ一つの通りのみがトッポキの店でしめられている。

 ところで今日の案内役は、知り合いのスンヒョンちゃんだ。僕の旅行記に何度も出てきているので、もう詳しい説明は必要ないだろう。プンダン新都市に実家のある、若くてきれいな女性だ。それから今日はお友達も一人ついてきていた。ということで、男一人、女二人の計3名が今日の御一行様だ。


シンダンドンへ

トッポッキストリート シンダンドンまでまずバスで移動する。そしてバス停からとぼとぼと歩いていくと、突然、目の前にシンダンドンのトッポキストリートが出現した。確かにうわさ通 りトッポキの店が並んでいる。これだけ多いとどこに入ればいいのか悩んでしまうところだ。しかしスンヒョンちゃんは迷わず、四つ角に面 している一つの店に向かって歩いていった。「シンダンドンウォンジョ1号(新堂洞元祖1号) ハルモニ トッポキ」と書かれている店だ。

トッポッキ ハルモニチプ スンヒョンちゃん曰く、この店が文字どおり「元祖」なのだそうだ。ハルモニというのは、韓国語でおばあさんという意味なのだが、この店のハルモニが初めてここ「シンダンドン」でトッポキの店を開いたらしい。店の入り口上にある看板には、そのハルモニの写 真がでかでかと掲げられていた。なるほど。観光客である僕は、やはりここで食うべきなのだろう。さっそくその店に入ってみた。

 店は真ん中でつながってはいるが、2カ所に別れていた。スンヒョンちゃんによると、もともとは角から離れた小さなスペースから始めたそうなのだが、「角」まで店を拡張したらしい。買収したんだろうか?

 店内はお昼の1時を大きく回っていたのだが、びっしりと客で埋め尽くされていた。お店の人に、小さい方のスペースに行くようにいわれる。そこはこの店の発祥の地でもあるわけで、願ってもないことだ。そして肩をぶつけ合うような小さなスペースに座る。

 メニューはベースとしてまずトッポキがあって、これにお好みにあわせてトッピングしていく方式だ。トッピングには「ラミョンサリ」という「インスタントラーメン」や、「マンドゥサリ」という揚げ餃子の大きいような中華春巻きのようなもの、「オデンサリ」という「おでん」のはんぺんのようなものから、いろいろある。これを追加して頼む。すると、それらがたっぷりとてんこ盛りになった円形の鍋というか鉄板というか、中途半端な深さのものがデンと置かれるのだ。

 因みに「サリ」というのは、日本語でいう「うどん玉」の「玉」にあたる言葉だ。また、細長いものの固まりを数えるときの助数詞として使うこともある。日本語でも「うどん、ふた玉」と言うふうに使うので、ほぼ同じニュアンスだと思う。しかし、マンドゥ(饅頭:餃子・シュウマイ類の総称)や、おでんにまで使うのには驚いた。「たま」というよりは「たね」の方が適当なのかも知れない。「おでんだね」「饅頭だね」といった感じだ。現代韓国語ではそういう使われているのだろう。辞書にはない使い方だ。生きた韓国語を勉強してしまった。

 さてここからは自分で作って行くわけだ。スンヒョンちゃんとそのお友達が、慣れた手つきでヤンニョムをからめながら煮込んでいくというか、焼いていく。そしてラーメンがしなっとなってきて、全体がだいだい色になってきたところで食べ始めた。

トッポッキ ハルモニチプ 調理前
トッポッキ ハルモニチプ 調理後
煮込む前
煮込んで食べ頃

 「タッカルビ」や「スンデ」は箸で食べるんだけど、ここではフォークで食べるようだった。あつあつのトッポキやマンドゥなどを次々と口の中に放り込んでいく。これはなかなかうまい。ほど良い辛さがとてもおいしいのだ。お腹が空いていたこともあって、次々とお腹の中に収まっていく。

 しかし、スンヒョンちゃんは「ちょっと味が変わったような気がする」と言っていた。いや、これでも十分おいしいと思うのだが・・・。

 因みにこの「味」を決めるのは、何度も出てきている「ヤンニョム」と呼ばれるものだ。これが味を左右する。そしてこの店では、ハルモニ秘伝の「ヤンニョム」が使われているそうで、これが客を呼んでいるわけだ。だから絶対レシピは教えてくれないらしい。ま、当然だ。

 ただ、韓国料理はトウガラシがベースになっているので、いくらレシピがあるとはいえ、日本のような「繊細かつ微妙な味わい」というわけには行かないように思う。トウガラシを入れると、みんな辛くなってしまうし、正直言ってそんなに味の差があるのか疑問に思っていたのだ。でも、最近、確かに同じ辛いものでも、うまいまずいはある、と思えるようにもなってきた。確かにまずい韓国料理はたくさんあるのだ。結局味を分けるのはトウガラシの質と、薬味の差のようだ。しかし、いずれにしても辛いのには違いないわけで、微妙な味を感じて楽しめる日本人の舌は誇っていいと思う。

 ところで、スンヒョンちゃんは「味が変わった」と言っていたので、もしかしたら店の拡張に伴ってヤンニョムを大量に作る必要が出てきて、そこに問題が生じているのかも知れない。こういうのはどこの国でも同じなのかと、ちょっとおかしくなってしまった。

 因みに店の内部なのだが、ハルモニの写真がパネルにして壁一杯に飾られていた。しかもその写真のほとんどが「テレビ出演時の映像」なのだ。そう、この店のハルモニはテレビに出まくっていたのだ。

 韓国には「故郷の味」とかそんな感じの「お店紹介番組」が結構あるようで、ハルモニはこれらの番組の常連だったようだ。おいしいということで評判だったらしい。そしてそのテレビ出演が今のこの店を築いたわけで、さらにトッポキストリートまでできてしまったのだ。ま、ストリートが出来たのは、便乗商売を考えた人たちによってなのだけど・・・。

 そんなことを考えながら、結局、大量にあったものをすべて平らげてしまった。そして最後にお約束の「ごはん」を入れて、締めにかかる。ヤンニョム焼き飯だ。これもたらふく食って満足だった。

 トッポキを食べたあと、近くのアイスクリーム屋でアイスクリームを食べる。スンヒョンちゃん曰く「トッポキを食べたあとは、アイスクリームを食べなきゃ」だそうだ。コースとして記憶にとどめておこう。


最後に】

 さて今回の「シンダンドントッポキを食べるに当たって」の注意点だが、やはり「トッピングをちゃんと頼もう」ということだろう。マンドゥ、ラミョン、オデンは必須と考えよう。これらがとてもおいしいからだ。あとは特にないが、やはり「締め」には「ごはん」を忘れずに、と言うことだろうか?

 日本人には少し辛いかも知れないが、お勧めの料理だ。

 

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